2015年 6月
1.内政
11日 公営放送局NERITをERTに改組。旧ERT職員を再雇用。
14日 全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の選挙にてイェニマタ新党首が選出された。
2.外交
(1) 対トルコ関係
11日、トルコは自国の軍事演習(射撃訓練)実施を理由に6月15日~12月31日までエーゲ海中央部の広い範囲に亘る海域における航行を制限するNAVTEXを発出した。(注:当該海域にはギリシャの飛行情報区(Flight Information Region)が含まれており、ギリシャ政府の許可なくNAVTEXを発出することは国際法違反である。)
(2) 対露関係
19日、チプラス首相がサンクトペテルブルクにおける国際経済フォーラム出席。両国間の貿易・経済協力の見通し等についてプーチン大統領と会談を行った。
同行したラファザニス生産・再建・環境・エネルギー相がノヴァク・ロシア・エネルギー相と(「トルコ・ストリーム」の延長となる)ギリシャのガスパイプラインに関する合意文書に署名した。
(3) 対バルカン諸国関係
24日 コジアス外相がFYROM訪問
25日 コジアス外相がセルビア訪問
25日~26日 コジアス外相がモンテネグロ訪問
(4)その他の動き
(ア) 8日、リヤード・マーリキー・パレスチナ自治政府外務庁長官はアテネを訪問し、チプラス首相及びコジアス外相と会談を行った。
チプラス首相はパレスチナの国家承認に関する前向きな姿勢を示した。なお、現時点ではギリシャは政府による国家承認ではなく、パレスチナ国家承認を支持する旨の決議を議会で採択することを検討している。
(イ) 14日~16日、ヨルゴス・チプラス外務次官(経済担当)が訪中。対外投資関連機関代表と会談(将来3年間の二か国間協力について協議)。
(ウ) 16日~17日、ファインマン・オーストリア首相がギリシャ訪問。パヴロプロス大統領、チプラス首相と会談。
3.経済
(1) ギリシャ支援プログラムをめぐる動き
(ア) 1日、ギリシャは改革案を債権者側に提出した。3日、ユンカー欧州委員会委員長がチプラス首相に対し債権者側の提案を行ったが、チプラス首相は、ギリシャが1日に債権者側に提出した提案が唯一、現実的・建設的なものであり、融資の実現はギリシャ側の提案に基づくべきとして拒絶した。
(イ) 4日、ギリシャ中央銀行はIMFに対し、6月中の4回のIMFへの返済を一括して6月30日までに行いたい旨要請した。
(ウ) 9日、ギリシャは新たな改革案(47ページからなる)を提出した。10日、EUラ米サミットの際にチプラス首相、メルケル独首相、オランド仏大統領が会合し、11日にはチプラス首相とユンカーEU委員長が会談するも、進展なし。18日、ルクセンブルクで行われたユーログループ会合でも膠着状態が続き、進展なし。
(エ) 18日、ラガルドIMF専務理事が、6月30日が期限の約16億ユーロの融資に関し、手続上、猶予期間や延期はなく、未払いの場合には翌日から債務不履行(デフォルト)状態になる旨を述べた。
(オ) 22日朝、ギリシャは新たな改革案を提出し、一定の評価を得たが、同日のユーログループ会合及びユーロ圏首脳会議では進展はなかった。
(カ) 24日、ギリシャ側提案に対する債権者側の修正案が提示され,チプラス首相は債権者側と7時間にわたり協議するも進展なし。同日のユーログループ会合は、短時間で終了し、翌日再開することになった。
(キ) 25日も朝からチプラス首相はEU理事会にも出席するためにブラッセルにて債権者側と協議。合意案の一本化は図られず、同日のユーログループ会合にはギリシャ側提案と債権団側提案の2つが提出されたが、結論は出ず。
(ク) 26日、債権者側は、自らの提案で合意する場合には支援期間の5ヶ月延長と約150億ユーロの支援を行う旨の提案を提示。同日夜、チプラス首相はブラッセルからアテネに戻り、対応を協議した後、27日未明、債権者側の提案への賛否を問うために7月5日に国民投票を実施したい旨発表し、そのために支援期間の7月5日までの延長を求めた。
(ケ) 27日、ユーログループ会合では、支援期間の延長は行わないとの決定がなされた。同日、国会が招集され、国民投票の実施が決定された(28日未明)。
(コ) 28日、ECBは緊急流動性支援(ELA)を26日の水準にとどめること(ギリシャからの拡大要請を拒否すること)を決定した。同日、チプラス首相は、資本規制の導入に関する演説を行った。翌29日からの銀行の休業、ATMからの引き出し額の制限、海外送金の禁止等が実施。
(サ) 29日、チプラス首相はTVインタビューにて、現在の経済状況からして翌日のIMFへの返済はとてもできない旨述べた。
(シ) 30日、ギリシャ政府は、30日までに一括返済することになっていたIMFへの返済(約16億ユーロ)と、ギリシャ中銀への返済(4億7,200万ユーロ)を行わなかった。同日、ギリシャに対する支援プログラムが終了した。
(2) 財政
ギリシャ財務省が6月25日付で公表した2015年1月から5月の財政統計によると、2015年1月から5月の財政収支は13億9,900万ユーロの赤字となった。一方、同期間のプライマリーバランスは15億600万ユーロの黒字となった。同期間の歳入は186億2,600万ユーロで政府目標を5億4,600万ユーロ(2.8%減)下回ったが、歳出は200億2,500万ユーロと政府目標の226億5,300万ユーロより26億2,800万ユーロ低く抑えられた。
(3) 輸出入
ギリシャ統計局の6月9日付の発表によると、2015年4月の輸入総額は38億4,640万ユーロ(前年同月比6.0%増)となった。一方、輸出総額は21億8,270万ユーロ(前年同月比5.9%増)となった。
(4) 観光業
ギリシャ観光業協会(SETE)の6月9日付の発表によると、2015年5月の観光客は173万5,984人で前年同月比6.0%増となった(国内主要空港の観光客到着数(暫定値)ベース)。内訳は、アテネ空港が41万987人(同22.9%増)、テサロニキ空港が14万6,690人(同1.3%増)となった。
4.経済指標
(1) 消費者物価指数
ギリシャ統計局の6月10日付の発表によると、2015年5月の消費者物価指数は前年同月比2.1%の下落となった。
(2) 失業率
ギリシャ統計局の6月4日付の発表によると、2015年3月の失業率は25.6%となり、前月から変動はなかった。
※2015年2月の失業率は、ギリシャ概況(2015年5月)公表後、ギリシャ統計局により25.4%から25.6%に修正されており、本号では当該修正後の数字を使用した。
※各種報道・公表資料を基に作成。
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