ギリシャ経済最新情報 |
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2015年3月 1.内政 ギリシャの支援プログラムをめぐるギリシャ政府と債権者(注)の実務者協議が続く中,18日,ギリシャ国会は貧困層への電力無料供給や食料費支援(food stamps)等を含む人道支援対策に関する法案の大枠を可決した。貧困対策はチプラス首相率いるSYRIZAの選挙前の公約であった。 (注: 欧州委員会,欧州中央銀行(ECB),国際通貨基金(IMF)、欧州安定メカニズム,(ESM)欧州金融安定ファシリティ(EFSF)で構成される。) 2.外交 (1) 対トルコ関係 (i) トルコによる飛行規制 2月末,トルコは同国の軍事訓練を理由に東エーゲ海上空(ギリシャ領空)の一部の飛行を3月2日から12月31日まで規制するNOTAM (Notice To Airmen)を発出したが,2日,トルコ側は誤って発出したことを認め,これを撤回した。 (ii) カメノス国防相の東エーゲ海訪問をめぐる問題 3月初旬,カメノス国防相は(トルコ国境に近い)東エーゲ海島嶼を訪問。トルコ側はこれを非難したのに対し,カメノス国防相は「我々の主権を示すのに誰の許可も求めるつもりはない。」と反論した。 (2) 対FYROM関係 7日,コジアス外相はラトビア・リガで行われたEU臨時外務理事会のマージンで,ポポスキーFYROM外相と会談し,FYROMにおける民族統一主義がマケドニア国名問題の解決を阻んでいることを指摘するとともに,ギリシャは二国間関係の障害を取り除くために信頼醸成措置を検討していると述べた。 (3) 対独関係 (i) チプラス首相の訪独 23日,チプラス首相はベルリンにてメルケル首相他と会談し,ギリシャの支援プログラムや戦後補償問題等について協議した。 (ii) 戦後補償問題 10日,チプラス首相は国会にて,選挙前の公約どおりドイツに対する戦後補償及び強制的融資の返済を追求すると述べた。またパラスケヴォプロス法務大臣は,ギリシャ中部のディストモ村で発生したナチスによる大虐殺の被害者及び遺族に対する補償をめぐる裁判に関し,ギリシャ国内にある独資産の差押えを執行するという最高裁判所の決定(2000年)に署名する意向を示した。しかし,チプラス首相は23日のメルケル首相との共同会見の際には,ギリシャ政府の中に(ギリシャ国内の)独政府資産の差し押さえを実行しようとする者はいないと述べた。 (4) 対米関係 17日,チプラス首相,コジアス外相は,各々に当地訪問中のヌーランド米国務次官補とギリシャ支援プログラムや対露制裁等について会談した。またカメノス国防相とヌーランド国務次官補は安全保障問題について会談した。 (5) 対中関係 チプラス首相の訪中(5月予定)に先立ち,25日~28日,ドラガサキス副首相及びコジアス外相は北京を訪問し,個別に馬凱副首相及び王毅外相と二国間の経済関係の発展等について協議した。 (6) 対露関係 チプラス首相の訪露(4月8日)に先立ち,31日,ラファザニス生産再建・環境・エネルギー相がモスクワを訪問し,ノバック・エネルギー相及びミラー・ガスプロム社長と会談し,エネルギー分野における二国間協定締結のための準備をした。 3.経済 (1) ギリシャ支援プログラムをめぐる動き ギリシャ政府は融資受け取りに向け,6日,7項目の改革案をユーログループ議長宛てに送付し,9日,ユーログループはギリシャ政府と債権者(1.注参照)のブリュッセル及びアテネでの実務者協議を開始することを決定した。しかし,実務者協議ではEU側から財政目標の数値の根拠が指摘され,詳細なデータを求められるなどしたため大きな進展はなかった。 19日深夜,チプラス首相は欧州理事会のマージンで,EU首脳等とギリシャ支援プログラムについて協議し,ギリシャは具体的な改革案を債権者に提出することになった。27日,ギリシャ政府は債権者側に30億ユーロ規模の歳入増加策を含む改革案を提出し,28日~30日,ブリュッセルで実務者協議が実施された。本協議の結果,改革案は修正されることとなった。 (2) 信用格付けの動き 27日,格付け会社のフィッチは,市場からの資金調達の断絶,流動性の逼迫,ギリシャ政府と債権者側の交渉の不透明さに伴い時宜に適った支援を受ける見通しが立っていない等を理由に,ギリシャの信用格付けを「B」から「CCC」に引き下げた。 (3) 欧州復興開発銀行(EBRD)によるギリシャ支援 3日,チャクラバルティ欧州復興開発銀行(EBRD)は,ギリシャ政府の要請に応じ,2015年から2020年まで,ギリシャの民間企業,特に中小企業を支援するための融資を行うことを発表した。同総裁は,支援に上限や下限はなく必要に応じて行うとしているが,10億ユーロ程度となるとの見方もある。 (4) 財政 ギリシャ財務省が3月26日付で公表した2015年2月の財政統計によれば,財政収支は1億9,400万ユーロの赤字となり,政府目標(7,000万ユーロの赤字)を下回った。また,同期間のプライマリーバランスの黒字は12億3,800万ユーロとなり,政府目標の14億1,100万ユーロを下回った。 歳入は77億9,000万ユーロで目標を9億6,700万ユーロ下回り,また歳出は79億8,400万ユーロユーロで目標より8億4,300万ユーロ下回った。 (5) 輸出入 ギリシャ統計局の3月10日付の発表によれば,2015年1月の輸入総額は31億3,050万ユーロ(前年同月比16.3%減)となった。一方,輸出総額は18億6,360万ユーロ(前年同月比12.8%減)となった。2015年1月の貿易収支赤字は12億6,690万ユーロ(前年同月比21.0%減)となった。 (6) 観光業 ギリシャ観光業協会(SETE)の発表によれば,2015年2月の観光客は前年同月比22.1%増となった(国内主要空港の観光客到着数(暫定値)ベース)。具体的には21万8,537人であり,内訳としてはアテネ空港が14万7,982人(同24.1%増),テサロニキ空港が6万8,364人(同20.6%増)となった。 4.経済指標 (1) 消費者物価指数 ギリシャ統計局の3月10日付の発表によれば,2015年2月の消費者物価指数は前年同月比2.2%の下落となった。
(2) 失業率 ギリシャ統計局の3月5日付の発表によれば,2014年12月の失業率は26.0% 1 となり,先月に比べて0.1%上昇した。
※各種報道・公表資料を基に作成。 (1) 2014年11月の失業率は、ギリシャ概況(2015年2月)公表後、ギリシャ統計局により25.8%から25.9%に修正されており、本号では当該修正後の数字を使用した。
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