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　　　　　　ギリシャ経済最新情報

2012年9月

1．概況
ギリシャ政府がトロイカと協議している緊縮策について、9月初めの時点では14日のユーログループ財務大臣会合を前に合意にこぎ着け、同会合にて融資再開への何らかの決定がなされるとの楽観的な見通しも存在したが、トロイカとの交渉は難航しており、特にＩＭＦはギリシャの債務持続可能性に厳しい見方をしている。IMFは例え115億ユーロの措置を実施したとしても第二次メモランダムで合意したギリシャの財政目標、2020年に政府累積債務対GDP比120％の達成は難しいとみており、追加的な措置を講じるようギリシャ政府に要求している。

トロイカ側の厳しいスタンスを受けて、連立三党内の調整も難航した。結局、27日の連立三党首協議で追加措置を含めて135億ユーロの措置について基本合意に至ったと発表されたが、連立を組む民主左派内には年金削減等の措置に対する根強い反発がある。同党では少数ではあるが緊縮策の国会採決において反対票を投じる意向を既に明らかにしている議員もいることから国会採決が注目される。

一方でトロイカとの協議決着は10月に持ち越されており、措置の詳細部分をめぐるトロイカとの協議は続くことから、連立三党首間で基本合意に至ったとはいえ、連立三党がトロイカに対し一枚岩で交渉にあたれるか、先行きには依然として不透明感がある。
国内では緊縮策の具体案が明らかになるにつれ、これに反対する動きも活発化している。26日には6月の新政権発足後初めてのゼネストおよび大規模デモが実施された。警察発表によれば、5万人がデモに参加したとされるが、アナーキストと思われる者による活動を除けば、デモは平和的に行われた。

2．財政
ギリシャ財務省が公表した2012年1月～8月の財政統計によれば、同期間の財政赤字は、124億8,200万ユーロとなり、政府目標の財政赤字額152億1,400万ユーロ以下に収まった。また、同期間のプライマリーバランスの赤字についても14億1,200万ユーロとなり、同目標である42億200万ユーロ以下に収まった。個別には、所得税や取引税の税収不足により歳入が331億300万ユーロにとどまり、政府目標を20億5,500ユーロ下回った。一方､歳出は455億8,600万ユーロと政府目標の503億7,200万ユーロより47億8,600万ユーロ低く抑えられた。

出典：ギリシャ財務省

3．輸出入
2012年７月の輸入総額（石油製品を除く）は25億5,450万ユーロ(前年同月は26億760万ユーロ)と前年同月比2.0％減となった。一方、輸出総額(石油製品を除く)は14億1,730万ユーロ(前年同月は14億3,630万ユーロ)と前年同月比1.3％増となった。2012年7月の貿易収支(石油製品を除く)は79億6,590万ユーロの赤字となった(前年同月比21.7％減)。

出典：ギリシャ統計局

4．主な産業分野
(1) 観光業
ギリシャ観光業協会(SETE)によれば、本年1月から8月の国内主要空港の観光客到着数(暫定値)は、855万9,165人となり、前年同期比3.11％減となった。8月単独では222万6,201人となり、前年同月比1.03％減となった。個別には、サモス空港が2万5,312人(同13.33％減)、アテネ空港は35万8,700人(同10.01％減)となった。一方、到着者数が増加している空港としては、ケファロニア空港が3万7,627人(同13.97％増)、ミコノス空港が5万242人(同13.75％増)、ハニア空港が13万7,499人(同11.58％増)となった。
同協会によれば、本年1月から7月の外国人観光客による観光収益は49億2,330万ユーロ、前年同期比7.03％減となった。

(2) その他の産業
本年6月の建設許可発行数は1,962件と前年同月比41.8％減となった。

出典：　ギリシャ観光業協会、ギリシャ統計局

5．経済指標
(1) 消費者物価指数
2012年8月の消費者物価指数は前年同月比1.7％の上昇となった。