ギリシャ経済最新情報 |
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2012年3月 1.概況 PSIによる債券交換が実現し、第二次支援が実行に移されたことで、3月下旬に予定されていた国債の大量償還によるギリシャの無秩序なデフォルトは回避された。連立与党PASOKでは、18日に党首選挙が実施されたが、党規約における条件を満たす候補者はベニゼロス財務大臣だけであり、総投票数約23万6千票の内、約23万票(約97%)を獲得し、新党首に選出された。選挙結果については投票数が当初予想の2倍になったことを受け、世論調査等でこれまで退潮が伝えられていたPASOKにとって来る総選挙に向けて前向きな結果と評する報道もなされている。事実、3月下旬に行われた報道各社による世論調査では、PASOKの支持率が幾分盛り返し、10~12%台を記録。20%前後の支持を集めるNDに次ぐ位置につけている。ベニゼロス財務大臣は党首就任に際し総選挙に備え、財務大臣職を辞職した。 総選挙に向けて既成政党、新政党ともに活動を活発化させている。第二次支援の先行措置の国会採決に反対して、PASOK、NDを除名された議員らはそれぞれ、「社会契約」(Social Pact)及び「独立ギリシャ人」(Independent Greek)を結党。除名議員の取り込みに務めている。こうした動きに対しPASOK、ND両党も除名議員の復党に向けた動きを活発化させているが、今回の選挙において大幅に議席を減らすと見られているPASOKでは、選挙名簿の作成を前に除名議員の復党に対し党内に意見の対立が見られる。また、総選挙を前にして専門職の自由化や教育改革をめぐる連立与党内の対立も報じられるようになってきている。 2.財政 ギリシャ財務省は、1、2月の財政執行状況についてプライマリーバランスが3億6,700万ユーロの黒字となったことを公表した。政府目標では2,200万ユーロの赤字としていたが、大幅な黒字を達成することになった。今回大幅な黒字化を達成することが出来た要因は、トロイカとの間で合意された医療費、防衛費支出を含む歳出削減が大きい。国債利払いを除く歳出は、88億9,100万ユーロとなり、政府目標より3億7,000万ユーロ下回った。歳入については、VATによる歳入が政府目標を2億7,700万ユーロ下回り、29億2,100万ユーロとなるなど税収が落ち込む一方、EUからの補助金がそのほとんどを占める公共投資予算(Public Investment Budget Revenue)による歳入が事前予測を2億5,100万ユーロ上回り、結果、歳入全体としては政府目標の92億3,900万ユーロを1,900万ユーロ上回る、92億5,800万ユーロとなった。 3.輸出入 2012年1月の輸入総額(石油製品*1を除く)は22億6,340万ユーロ(前年同月は26億5,510万ユーロ)と前年同月比14.8%減となった。一方、輸出総額(石油製品を除く)は12億2,640万ユーロ(前年同月は11億8,890万ユーロ)と前年同月比3.2%増となり、2012年1月の貿易収支(石油製品を除く)は10億3,700万ユーロの赤字となった(前年同月比29.2%減)。 出典: ギリシャ統計局 4.主な産業分野 (1) 観光業 本年1月及び2月の国内主要空港の観光客到着数は、36万931人となり、前年同期比6.72%減となった。個別には、アテネ空港の観光客到着数が24万3,520人(前年比10.7%減)となった一方、イラクリオン空港(クレタ島)は3,200人(前年比16.1%増)、テッサロニキ空港は11万2,397人(前年比8.9%増)となった。 なお、本年1月の観光業による収益は1億3,330万ユーロとなり、前年比9.4%減となった。 (2) その他の産業 本年1月の新車登録台数(乗用車)は8,504台(前年同月比25.8%減)、2月は4,247台(前年同月比44.3%減)となった。 出典:ギリシャ統計局、ギリシャ中央銀行及びギリシャ観光業協会 5.その他関連情報 (1) PSI実施 2月24日に開始されPSIによるギリシャ国債借り換えへの参加募集(民間債権者が保有する総額約2,060億ユーロを対象とするもの)に対し、8日の応募締め切りまでにギリシャ法準拠の国債中,自発的に参加を表明したのは85.8%、約1,520億ユーロ分の債権者であったがCACsによりギリシャ法準拠分については最終的に100%債券交換されることになった。一方、外国法準拠の国債については69%、約200億ユーロ分の債権者が自発的に参加表明し、合計約1,720億ユーロ分の債券が、12日、新規債へ交換された。一方、外国法準拠の債券及び国営企業が発行した政府保証債の残余分については、応募締め切りが2度に渡り延期されており、現在の締め切りは4月4日となっている。 CACsの発動について国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、9日、CDSのクレジットイベント(信用事由)に該当すると認定した。 (2)国債格付け PSI実施に絡み2日には、ムーディーズがギリシャ国債をCaからCに引き下げた。また、PSIの結果発表直後の9日には、フィッチがギリシャ国債の格付けをCからRRD(一部債務不履行)に引き下げたが、ギリシャ法準拠国債の借り換え完了(12日)に伴い、同社は、ギリシャ国債の格付けをRDからB-に引き上げ、見通しを安定的とした。一方、S&Pは全ての債券交換が完了するまでギリシャ国債の格付けをRDに据え置くとしている。 6.経済指標 (1) 消費者物価指数 2012年2月の消費者物価指数は前年同月比2.1%の上昇となった。
(2) 失業率 2011年12月の失業率は21.0%となり前月から0.1%上昇した。
(3) GDP成長率 2011年第4四半期のGDP成長率は前年同期比7.5%減となった。
出典:ギリシャ統計局 ※各種報道・公表資料を基に作成。
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