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      ギリシャ経済最新情報

2011年6月

1. 概況
2010年5月にギリシャ政府とトロイカ(欧州委員会、欧州中央銀行及び国際通貨基金)がメモランダムを締結してから 1年が経過した。その後、財政健全化目標達成のためのギリシャ政府による取組は一定の成果を上げたが、財政赤字は政府目標の対GDP比8.1%を達成できず同10.5%となった。また、政府による緊縮措置は、国内経済活動に影響を及ぼし、2010年第2四半期のGDP成長率は6.5%減まで落ち込み、2010年全体では4.35%減となった。本年のGDP成長率は3.5%減と予想される。 また、今般の経済状況の悪化により、2011年第1四半期の失業率は15.9 %(2010年第1四半期は 11.7 %)まで上昇し、15歳~29歳の若者層の失業率は30.9%となった。

財政赤字削減目標の未達状況などを受けて、ユーロ圏各国からギリシャ政府に対してより厳しい赤字削減措置を求める声が高まった。特に公的企業の民営化や公有財産の売却などを含む民営化計画の実施が要求され、ギリシャ政府は6月9日、公的機関の構造改革や税率見直し、500億ユーロ規模の民営化計画を含む、2011年~2015年の中期財政計画を閣議決定した。同計画の策定過程では野党のみならず閣内及び与党内からも反発する声が上がり国会採決の行方が懸念されていたが、同月17日、パパンドレウ首相はヴェニゼロス前国防大臣の財務大臣任命を含む内閣改造を実施、22日には新内閣に対する信任投票が行われ、PASOK内から離党する議員を出したものの、信任155票、不信任143票で無事信任を勝ち取った。アテネ市内では、5月25日より緊縮措置に反対する市民が、シンタグマ広場(国会議事堂前)にてデモを行い道路や広場を占拠する状況が続いていたが、新内閣の下、6月末に中期財政計画及び関連法案が無事可決された。

       

2.財政
(1) 財政状況
ギリシャ財務省によれば、2011年1月~5月の財政赤字は102億6千万ユーロ(2010年同期は91億ユーロ)となり、2011年度予算案の目標値(90億7,200万ユーロ)を上回った。また、歳出(一般歳出及び公共投資歳出)は、目標値の300億2,700万ユーロを達成し、7億3,600万ユーロも下回ることとなった。一方、歳入(一般歳入及び公共投資歳入)は目標値の209億5,500億ユーロを下回り、19億2,400万ユーロ分の不足となった。これは主に、景気後退が予測以上に深刻だったことや、交通税や所得税の徴収に不足が生じたためとされる。一方、公共投資による歳入は、3億6,300ユーロに上り、前年比117.5 %増となった。

(2) 国債信用状況

中期財政計画をめぐるギリシャ国内の政治情勢の混乱やギリシャ支援をめぐるドイツ他ユーロ圏各国と欧州中央銀行の意見の不一致などにより、ギリシャ支援に対する見通しが不透明感を増したことを受け、主要格付け会社は軒並みギリシャ国債の格下げを行った。 6月1日、米格付け会社ムーディーズは、ギリシャの成長見通しが不透明であり、財政健全化計画の目標が達成できていないとし、ギリシャの格付けを「B1」から「Caa1」に3段階引き下げた。「Caa1」は、下から5番目の格付けであるものの(以下、「Caa2」、「Caa3」、「Ca」、「C」と続く。)、同様の格付けはキューバに対して付されているのみであり、更に下位の格付けとしては、エクアドルに対する「Caa2」のみである。また、6月13日、米格付け会社スタンダード&プアーズは、ギリシャの債務再編が行われる公算が大きいとして、ギリシャの信用格付けを「B」から「CCC」に引き下げ、世界最低ランクに位置づけた。こうした状況を受け、6月16日には、10年物ギリシャ国債利回りが17.947% まで上昇、1988年以来最高値を更新した。


3.消費者物価指数
ギリシャのインフレ率は、 2010年12月は5.2 %、2011年4月は3.9%となった。 2010年のインフレ率上昇は、主に、 VAT(付加価値税)の引き上げや公的企業によるサービス料の引き上げ等、ギリシャ政府がすすめる緊縮措置が要因と見られている。特に2011年に関しては、VAT の追加的引き上げや石油価格の上昇によるものと考えられる。 2011年の平均インフレ率は約3.5 %と予測される。


4.輸出入
外需の回復により、2010年第4四半期の輸出(商品)は前年同期比24%増、2011年第1四半期は同31.3 %増となった。一方、2011年第1 四半期の輸入(石油を除く商品)は16.9%減となった。

5.主な産業分野
(1) 海運業
2009年の商業用船舶到着数は、前年比29.4%減まで落ち込んだが、2010年は回復が見られ、前年比13.8 %増となった。2010年の海運業による収益は、前年比12.1 %増(2009年は前年比34.4 %減)となり、 GDP 成長率の回復に影響を与えることとなった。一方、 2011年1月及び2月の収益は3.2%減となった。

(2) 観光業
アテネでの抗議デモや各種交通機関のストライキが行われたものの、2010年の外国人観光客総数は約1,500万人に上り、前年比0.6%増と若干の回復が見られた。内訳で見ると2010年は、英(前年比14.7%減)、独(同13.8 %減)、仏及び伊(それぞれ同9.8%減)など西欧諸国からの観光客数が減少する一方、ポーランド(前年比97.6%増)、露(同63.5%増)、キプロス(同32. 2 %増)からの観光客数が大幅に増加した。一方、2010年の観光業による収益は前年比7.6%減となった。 2011年1月~4月の外国人観光客数は、前年同期比5.4 %増で、4月に関しては 24.5%増となった。また、2011年1月及び2月の外国人観光客による収益は前年比6.1 %増となった。

(3) 金融
中期財政計画をめぐる政府内の混乱が続く中、ギリシャ国債を抱えるギリシャの各銀行は今年に入り預金額の8%を失ったとされる。理由としては緊縮財政下におけるギリシャ国民の収入補填とともに、信用不安による資金避難行動が始まったと見る向きもある。各行は、資金供給をECB に依存しており借入額は5月末時点で975億ユーロに達している。


6.民営化・構造改革
中期財政計画では、ギリシャの債務削減や経済回復に向け、2015年までに500億ユーロ規模(2011年末までに50億ユーロ)の民営化計画を実施するとしている。同計画には公営企業及び公営銀行の株式売却、インフラ設備の運営権売却(空港、港、高速道路等)、独占的運営権の開放(ゲーミング事業等)、国有資産売却が含まれている。

2011年に民営化が予定されている公的機関は、 (1)OTE (政府所有の株式16%を完全売却:2011年第2四半期中に実施) (2)ギリシャ郵便銀行(政府所有の株式34%を完全売却:2011年第2四半期~第4四半期に実施) (3)アテネ・テッサロニキ港湾(政府所有の株式75%を完全売却:2011年第2四半期~第4四半期に実施) (4)テッサロニキ水道公社(政府所有の株式74%の内46%売却:2011年第2四半期~第4 四半期に実施)となっている。
 
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