2003年度治安情報

  2003年12月18日 

年末も押し迫り、帰国や家族旅行にと頭の中はクリスマスや年末年始の過ごし方で一杯といったところでしょうか。

1.人の記憶や警戒心は時間の経過とともに薄れがちですが、日本がアルカイダに攻撃対象として名指しされ、日本人外交官2名が殺害された事件以降も、海外の日本人及び日本権益に対する脅威は依然として高い状態が続いています。日本国政府内においては先般、関係省庁によるテロ対策会議が開催され、海外の日本人及び日本権益に係る安全対策について検討がなされたところです。

2.他方、当地においては、「11月17日革命組織」公判の評決以降連続して11件(当館集計)の放火等テロ事件が発生したほか、昨日(17日)の判決を受け、それに抗議する当国内左翼過激派が本格的な爆弾テロを行う可能性も否めない情勢にあります。

3.こうした内外情勢には十分な関心を払い、これまでにお知らせしているようにテロ事件が発生する可能性のある危険な場所や、クリスマスや新年の行事等で外国人が多数集まるような人混みに用もなく近付くことは避けるようにして下さい。また、年末年始は日本からの観光客も多いと聞きますが、お知り合いが訪問された場合などには、現在の当地の情勢をお伝えいただき、警戒心を持って行動いただくようご助言ください。
 

イラクにおける日本人外交官殺害事件を踏まえた警戒の徹底

2003年12月1日

1. 報道等で既にご承知のとおり、29日、北部イラクの支援会議に出席するため出張中の日本人外交官2名が、イラクのティクリット付近において殺害される事件が発生しました。ここのところアルカイダ等国際テロ組織が日本を攻撃対象として名指ししていましたが、犯行組織や背景等は不明も今回の事件は、イラク復興支援に関連して日本人が犠牲となった初めてのケースで、日本権益に対する脅威は急激に高まっています。

2. 前回お知らせしたように、国際テロ組織がギリシャ国内の日本人や日本権益に対し、直ちに同様のテロ攻撃を行う可能性は高くありませんが、こうしたテロの発生予測は困難であること、今後ギリシャ国内の左翼過激派が米国のイラク統治に関し、抗議対象を日本権益にまで拡大する可能性も否めないことなどから、警戒を徹底する必要があります。国内情勢としては、ギリシャ主要テロ組織「11月17日革命組織」の公判の評決が12月8日に行われ、その数日後には判決が言い渡される予定であり、この前後には国内左翼過激派の活動が活発になることも予想されます。

3. 繰り返しのお願いになりますが、これら情勢を踏まえ下記事項に注意してください。

(1)用もなく次の場所に近づかない

① 政府機関、治安機関、司法機関、軍、報道機関の施設
② 米国、英国、イスラエルをはじめとした主要国大使館施設及び商業権益 
③ 深夜、早朝の銀行及びATM
④ 外国人が多数集まる場所

(2)攻撃側に警戒心の強い人物との印象を与え、攻撃を回避するため次の動作の励行

① 自宅や会社への出入りの際には、周囲に不審者、不審物、不審車両がないかを大きな動作で確認する。
② 通勤時には定時に定点を通過することのないようにし、時々通勤ルートを変更する。
③ 車両運転中に同一車両が付いて来る場合は車線変更等を行い、運転者やナンバーを確認する。
④ 異常を感じ、あるいは発見した場合は、直ちに警察に通報する。
  ※ 詳しくは「生活安全の手引き」をご参照ください。

4.年末年始に向け出張、家族旅行等の計画があるかと思いますが、渡航先の情勢については外務省ホームページの渡航情報を参考にし、安全対策に万全を期してください。
 

邦人を狙ったエアポート・バス内の置引事件
2003年年11月27日

最近、邦人を対象としたエアポート・バス内での置引被害が複数発生しています。

1. 手口は、邦人旅行者等がシンダグマ広場の停留所(国会前)で停車中の空港行きバスに乗り込み、荷物を座席に置いてチケットに刻印する僅かな時間に、荷物を持ち逃げするものです。当館把握のケースは、いずれも土曜日の昼間時間帯に発生しています。

2. この種犯罪は、所持品を必ず手元に置き絶対に目を離さないことで防ぐことのできるものです。また、犯人は必ず犯行前に狙った対象の動向を見ていますので、常に周囲に気を配り不審者がいないかを確認するようにしてください。


3. 在留邦人の皆様が注意していただくことはもちろんですが、日本等からの出張者や訪問者にもこうした手口の犯罪が発生している旨注意喚起していただき、被害を未然防止しましょう。
 

アルカイダ関係者が攻撃対象として日本を再度名指し
2003年11月19日

1.16日、トルコ・イスタンブールのユダヤ教会堂が、アルカイダによると思われる 自動車爆弾により爆破されるという凶悪なテロ事件が発生しました。これに関連して、アルカイダ関係者を名乗る者が10月18日に続き、日本を攻撃対象として名指しする次の声明を出しました(既に配付した11月17日付「広域情報」をご参照下さい)。

【声明】
「我々は、犯罪者であるブッシュ米国大統領とその従者たち、特に英国、イタリア、オーストラリア及び日本に対して、暴政の都の中心で、死の車を目の当たりにすることになるであろうことを告げる。」
「日本が自衛隊をイラクに派遣するならば、我々の攻撃は東京の中心部にまで及ぶ。」

2.ギリシャは、イラク攻撃の際、EU議長国として最後まで平和的解決を訴えたこと、中東問題においてはパレスチナの立場にも配慮していること、国民の反米感情が強いこと、国内のイスラム教徒は多くないことなどから、ギリシャが直ちに国際テロ組織の攻撃の場になる可能性は高くありませんが、来年にアテネ五輪を控えていることが同組織に攻撃の理由付けを与えないとも限りません。五輪が近付けばその脅威は自ずと高まります。

日本は現在、イラク復興支援のための自衛隊の派遣を検討していますが、こうした情勢には常に関心を持ち、いつどこでテロが発生してもおかしくないという意識を持って行動していただくようお願いします。また、これまでに何度となく注意喚起しているテロの標的となりうる施設や外国人が多数集まる場所にはできる限り近付かないようにするとともに、各企業の駐在事務所等における警戒度もこれまで以上に高めていただくようお願いします。

3.17日に行われた大規模デモでは火炎瓶投てき事件等が発生したものの、治安当局のこれまでにない厳重な警備が奏功し大きな被害には至りませんでした。

 

11月17日学生蜂起記念日前後の警戒の徹底
2003年10月20日

1.最近当地ではアナキストによる活動が活発になっており、各地で爆弾を使用したテロ事件が頻発しています。また先月には、新たなテロ組織が人的殺傷を目的に時間差により爆発する複数の爆弾を裁判所に設置し、警備の警察官が負傷するという凶悪なテロ事件も発生しました。

2.現在、ギリシャの主要テロ組織である「11月17日革命組織」の裁判が行われており、第一審が最終局面を迎えようとしています。同時に、同組織の名称ともなっている1973年に軍事政権に抗議して行われた学生蜂起の日11月17日が間近に迫っています。

例年11月17日の記念日にはアテネ市中心街において大規模な集会・デモが行われ、一部デモ参加者が暴徒化します。今年はテロ組織の裁判が行われている中でのデモとなるため、例年以上に荒れたデモとなることが予想され、その前後には爆弾テロ事件が発生する可能性が高い情勢にあります。

3.また18日にウサマ・ビン・ラーディンと見られる者がテロ攻撃の声明を出しましたが、その中で「我々は、この不当な戦争に参加する全ての国々、特に英国、スペイン、オーストラリア、ポーランド、日本、イタリアに対し、適当な時期と場所において報復する権利を有する。」と述べています。

4.こうした情勢からこれまで以上に警戒心を強め、特に11月17日前後には、
  • 政府関係施設
  • 軍事施設、治安関係施設、司法関係施設
  • 報道関係施設
  • 米国・英国・イスラエルのほかビン・ラーディンが言及する各国大使館
  • 外国人が多数集まる場所
  • 深夜早朝の銀行ATM
  • 11月17日当日のアテネ中心街

    に用もなく近付くことのないよう注意してください。
 

テロ事件に対する安全対策

2003年9月8日

1.9月5日、米国土安全保障省が発した警告についてお知らせし、9.11米国同時多発テロ事件2周年を間近に控え一層の注意をお願いしたところですが、当地で5日早朝、裁判所(アテネ市北東部)がテロ組織に爆弾で攻撃され、警察官が負傷する事件が発生しました。今回の爆弾テロは、警察官の殺傷をも目的としており、時限式爆弾による時間差攻撃(1発目の爆発により人が集まったところで2発目の爆発が起こるもの)を特徴としています。

2.現在、ギリシャでは主要テロ組織の公判が進んでおり、残存する国内のテロ組織構成員にとって攻撃の恰好の口実 となっています。また国際テロの観点からも、9.11等記念日には過去何らかのテロが発生することが多く、アテネ五輪を控えた当地がそのターゲットにならないとも限りません。

これまでにも何度となく注意喚起していますが、この時期特に次のことに心掛け、テロ事件に巻き込まれることのないよう注意してください。

(1)警察・裁判所等司法機関の施設、軍関係施設、政府機関の施設、米・英等主要大使館に用もなく近付かないこと。

( 2)夜間、早朝に銀行の自動預払機を利用したり近付かないこと。

(3)出勤時、w帰宅時には、不審者、不審物、不審車両がないかを確認すること。その際、大きな動作で確認し、対象を調査する攻撃側に警戒心の強い人物であると印象付けること。

(4)通勤等経路は時々変更し、定時に定点を通過することのないようにすること。

(5)不審物を発見した場合は、不用意に触れることなく警察に通報し、安全が確認できるまでその場から離れること。
 

ギリシャ北部における薬物関連犯罪事件
2003年9月9日

1.ギリシャ北部トルコ国境近くの町アレクサンドルポリの南にあるサモスラキ島で、8月28日から9月3日までの7日間、「サモスラキ・ダンス・フェスティバル」が開催され、トランスと言われる音楽のダンス・パーティが行われました。同期間中、警察当局の一斉取り締まりにより、フェスティバル参加者のうち約150名が薬物関連犯罪で逮捕され、その中には大麻等を所持していた日本人旅行者数人も含まれるという大変残念な事件が発生しました。

2.ギリシャの麻薬取締法は、日本同様に厳しい罰則を設けており、長期に拘留されるケースもみられます。アレクサンドルポリ警察局公安部薬物対策課では、「会場に何組かの日本人グループがいたが、日本人がこうした犯罪を犯すことは非常に残念だ。取り締まりは今後も強化していく。」と強く警告を発しています。

3.こうした一部の心無い者の行動は、2004年のアテネ五輪開催に向けてギリシャを訪問する多くの日本人旅行者に多大な影響を与えることとなります。日本人旅行者はギリシャの法律を守り、こうした事件を引き起こすことはもちろん、荷担したり巻き込まれたりすることのないよう注意してください。
 

あなたの周りにも危険が!

2003年6月20日

1.テロの脅威

イラクに対する軍事行動終了後、サウジアラビアで12日、モロッコで16日、アルカイダが関与したと思われるテロ攻撃が発生し多数の死傷者を出しました。また、米国務省は20日、全世界的にアルカイダが作戦可能な期間に入っているとして、テロ警戒レベルを「危険」から「高い危険」に引き上げています。

現在までのところ、ギリシャ国内でのテロ情報には接していませんが、テロ事件はいつどこで発生するとも限りません。これまでにも「お知らせ」で注意喚起しているとおり、軍、政府関係施設をはじめ外国人の多く出入りする場所等、テロの標的となりうる場所へは不用意に近づかないようにしてください。

2.治安情勢

最近、在留邦人の居住地域における犯罪発生が増えています。紹介する事例はいずれも在留邦人の被害が含まれます。留意事項に従い、防犯対策を見直してください。

(1)発生手口
イ. 居空き狙い
ペフキ等地下鉄沿線の家屋を狙い、家人が就寝中に鍵を壊して侵入し、金品等を窃取する手口の犯罪が多く発生しています。犯行時間帯は午前3時から5時の間です。居空き狙いは、家人が気が付けば居直り強盗に発展するなど危険性の高い犯罪です。なお同じ地区で同様時間帯に車上狙い被害も発生しています。

ロ. 空き巣狙い
ホラルゴス地区で最近、集中して空き巣狙い被害が発生しています。手口は、家人の外出を確認の上、宅配や掃除人を装って集合玄関を入り、人目に付きにくい最上階家屋の玄関鍵を破壊して侵入し金品等を窃取するものです。


ハ. かっぱらい
ハランドリー地区で、かっぱらい被害が発生しています。手口は、被害者が帰宅し自宅近くの路上に車を駐車直後、オートバイに乗った若者が近づき、被害者車両のトランクを開けて中からアタッシュ・ケース等を窃取し逃走するというものです。

(2)留意事項
イ.外出及び帰宅時には、必ず周囲を見渡す習慣をつける
犯人は、犯行に及ぶ前に必ず下見し、目標とする対象の動向を注視しています。外出時等には周囲を見渡す動作を大きく行うことを習慣付け、犯人に警戒心の強い人物と印象づけてください。こうした行動が被害を未然に防止します。

ロ.鍵は複数取り付け、戸締まりを確実に行う
犯人が最も嫌うのは、侵入までに時間がかかり人目に付くことです。鍵を複数取り付け、玄関周囲は明るくしておきましょう。

ハ.車のトランクはロックする
所持品は車内に放置せず、必ずトランクに収めた上さらに施錠するようにしてください。

ニ.車内に物を置かない
外部から見てめぼしいものがない状況を作ることが大切です。脱着可能なカーステレオ等は、駐車時に取り外しておくことをお勧めします。

ホ.万一被害に遭った場合に無用な抵抗をしない
万一被害に遭ってしまった場合は、犯人が凶器を所持していることなども想定し、無用な抵抗をしないようにしてください。事後捜査のため、犯人の人相、着衣等を記憶するように努め、直ちに警察に届けましょう。
 

睡眠薬強盗の発生
2003年6月19日

ここしばらく耳にすることのなかった睡眠薬強盗がアクロポリスの丘近くで再び発生し、日本人観光客が被害に遭いました。事件概要及びアクロポリ警察署からの注意事項は次のとおりですので、十分注意してください。

1.事件概要
6月14日(土)午後、日本人単独旅行者(42歳)がアクロポリスの丘の南西約300メートルにあるフィロパプウ広場で休憩中、「ポルトガル人の学生」と自称する若い男に声をかけられ、話をしながら缶ビール4~5本を飲んだ後、差し出されたアイスクリームを食べたところ意識を失い、翌15日朝、気がついたら持っていた鞄がなくなっていたというもの。

2 .アクロポリ警察署長からのお願い等
(1)今回の事件は、アイスクリームに睡眠薬が混入されていたと思われます。

(2)ここ数年、睡眠薬強盗の発生はありませんでしたが、今後引き続き発生する可能性がありますので、特に単独旅行者やカップルの旅行者は次の点に十分注意してください。
(イ)通常観光客が行かないような場所は避ける。
(ロ)暗くなって以降は極力出歩かない。
(ハ)見知らぬ人に声をかけられても応じない。
(ニ)一見して観光客と判る服装をしない。

(3)アクロポリ警察署管内(プラカを含むアクロポリスの丘周辺)では、集団によるスリや置引き事件が多く発生していますので、所持品の管理は徹底してください。

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