2.財政
財政赤字についても、 2008年はGDP比5.0%まで上昇しており、2009年については3.7%としている目標達成には、歳入増加及び支出抑制を目指す追加的な対策が求められるものと思料される。
政府は、6月26日、190億ユーロの税収を見込んで、燃料、携帯電話、宝くじ、競馬賭博、エンジンが2リットル以上の乗用車、全長10 メートル以上の娯楽用のボートに対する増税案を発表している。
3.雇用
2009年第1四半期の失業率は9.3%となり、7.8%であった2008年第4四半期の失業率を大きく上昇させている。 15歳~ 29歳の世代での失業率が最も高く、18.5%を占めている。
このような状況において、政府は、 雇用支援として32億3900万ユーロを予算に組み込むことを4月に表明し、さらに5月には投資の増加及び雇用創出を目的として、13億ユーロの中小企業向け支援計画を発表した。
4.輸出
現在の国際的な経済活動の低下に加え、国際的なコスト競争力の低下を招いている労働コストの上昇は、ギリシャ経済をさらに深刻化させている。この労働コストの上昇は、2008年第3四半期までは、高い投資成長の結果として国内製造能力の上昇があったため、ギリシャの輸出産業において大きな問題を生じておらず、ロシアを含む南西欧の国々や途上国の急速な成長により、ギリシャの輸出は増大してきていた。
しかしながら、ギリシャの輸出競争国である多くの中東欧国や英国、東南アジアにおける通貨下落も生じているところ、ギリシャにおける労働賃金の高騰の抑制は、数年続く経済危機という環境においてはより集中的に行われことになると予想される。
商品輸出は、2009年第1四半期で-16.7%を記録しており、商品及びサービスの輸出は、2009年全体では、-8.0%前後まで落ち込むことが予想される。一方で商品輸入については、さらに低下が激しく、2009年第1四半期においては-30.2% 、特に乗用車の輸入登録について言えば、前年同期比-40%まで落ち込んでいる。商品及びサービス輸入は、2009年第1 四半期においては-18%、2009年全体においても約-9%程度の低下が予測される。
5.消費
2008年における2.4%の成長に比べて、2009年の民間消費は0.5%程度の成長になるものと予想される。このことは、賃金上昇率を考慮すると、可処分所得の増加分の多くが貯蓄に回されることを示している。
一方で、2007年には7.4%、2008年には3.2%であった公共消費の成長率は、政府が下半期支出の抑制を検討していることから、1.0%程度と予測される。さらに、政府赤字をGDP比3.0%に維持する必要性から、2010年以降も引き続き抑制されるものと予想される。
6.投資
加盟国財政の付加削減を考慮し、欧州委員会は2009年及び2010年における加盟国による実施される投資プロジェクトに対する財政支援に積極的な姿勢を打ち出している。ギリシャに対しては、EUの社会構造基金から90億ユーロ以上が支援される予定であり、政府はこれを有効活用すべく、官民パートナーシップ(PPPs)を通した投資を推奨している。このPPPs プロジェクトは2008年には実施されておらず、2009年から開始されることが期待されている。
また、商業投資についても、投資推奨法の規定の基づく投資が計画されており、現時6,543プロジェクトが申請され、そのうち約4,300が承認されている。これらのプロジェクトの投資価格は、政府支援の37億ユーロ分も含めると、89億ユーロにのぼる。これらのプロジェクトが 2008年から2009年に実施・完了されることとなっており、2009年には商業投資が増大する可能性もあるものと考えられる。
7.主な産業分野
(1) 住宅産業
2005年の建築許可の増大や住宅売買に関する減税実施により、住宅建築は2006年に大幅に増加した影響を受け、2007年から2009年までの住宅建築は減少してきている。加えて、現在の経済危機の影響も受けており、2009年の住宅投資は、既に低レベルにある2008年の住宅投資の水準からさらに低下して、-15%以下の水準になることが予想される。 2008年住宅価格成長も、2006年の12.2%、2007年の3.5%に比べ、建築コストの上昇分をなんとかカバーする1.5% に落ち着いている。
観光地としてのギリシャは、別荘等の場所としての魅力も有しており、2010年に期待される欧州経済の回復により、観光業及び住宅の双方の分野の好転が期待される。
(2) 海運業
ギリシャの海運収益は 2008年9月までは上昇傾向にあったが、 2008年第4 四半期及び 2009年第1四半期においては大幅に低下した。 2008年の海運収益は前年比7.7%上昇して99億ユーロであったが、2009年第一四半期における収益は前年同期比 -23.1% となっており、 2009年全体においても-25% 程度の落ち込みが予想されている。
(3) 観光業
観光収入は、2008年においては3.0%上昇した。これは、従来から多かった英国やドイツからの観光客数が低下する一方、主にロシアや南東欧諸国からの観光客が増加したことよるものである。しかしながら、2009年の第1四半期においては、観光収入は前年同期比-18.2%となっており、2009年全体においても-15.0% 程度の低下が予測される。一方で、ギリシャ国民の海外旅行における支出は、2009年第1四半期において前年同期比-15.8%と低下しており、2009年全体でも-12.5%程度と予測されている。
(4) 銀行業
銀行システムは、ギリシャと南東欧の成長を支える強い柱となっている。昨今の世界的な金融危機にもかかわらず、ギリシャの銀行は比較的健全な運営となっており、ユーロ圏全体ではGDPに対するローン割合が119% に達しているのに対し、ギリシャは102%程度に抑えられている。また、銀行貸し出しの90%が顧客預金をもとに実施されており、リスクの低い運営となっている。
8.民営化動向
(1)ガス公社( DEPA )
ガス公社(DEPA)の民営化に関して、戦略的投資家として、イタリアのEdison、ギリシャ石油公社(ELPE)、ドイツのEON 社及びRWE社、並びにGaz de France社が興味を示している。
(2)テッサロニキ水道機構
現時点では、当該機構の株式74%をギリシャ政府が保持しているが、民営化に向け、ナショナルバンクやHSBCの支援のもと、既に幾つかの投資家との間で議論が進められている。
9.その他関連情報
(1)再生可能エネルギー資源奨励
5月、開発大臣は、再生可能エネルギー資源奨励策及びギリシャ国内の配電網の負担緩和を目的として、一般家庭が必要な電力をまかなうための太陽光エネルギー装置導入を比較的少ない行政手続で可能とすることを発表した。2011年末までに設置されたものについては、生産電力の超過分をギリシャ電力公社(PPC)へ1キロワットあたり0.55ユーロ(インフレ率により調整)で25年間売却可能となる。
(2)ギリシャ鉄道会社の運営合理化計画
5月、運輸大臣は、ギリシャ鉄道会社(OSE)が政府に与えている財政的負担を緩和するためOSEの運営合理化について発表した。OSEの債務総額の90億ユーロは2011年までに110億ユーロに拡大すると見られているが、OSE改革計画では、3年間にわたり、従業員の削減、ルート及び運賃の再検討、安全対策などが組み込まれることとなっている。
(3)省エネ冷房装置交換計画
冷房装置の電力効率改良を目的とし、一般家庭において古い冷房装置を新しい省エネ冷房装置に交換する場合、一台につき500ユーロまで支援するという省エネ冷房装置交換計画が6月から実施され、開始20日で6万7千台もの冷房装置が交換された旨開発大臣から発表があった。
(4)ギリシャ石油公社によるBP 社事業権買収
6月、国内最大の石油精製会社であるギリシャ石油公社(ELPE)は、BP社との間でギリシャにおけるBP社の事業権を3億5900万ユーロで買収することに合意した。 ELPEはBP社のガソリンスタンド1,200カ所及び17万立方メートルの備蓄施設を獲得し、4千万ユーロの債務を引き継ぐ旨述べている。
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