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2013年9月
1.概況
2013年第2四半期のキプロス経済は、第1四半期に続き建設業や製造業などの第2次産業の他、観光業・銀行業・運輸業等が低迷し、GDP成長率は前年同期比5.9%減となった。
7月17日~31日、財政再建プログラムの一環として、トロイカ (欧州委員会、欧州中央銀行及びIMF) 調査団がキプロスを訪問し、第一回評価調査を行った。キプロス政府とトロイカは一連の協議の末、キプロス銀行の資本増強にあたり同行の付保対象外預金(1,000万ユーロ以上)の47.5%を株式に転換することで合意した。これを受け、7月30日、キプロス財務省及び中央銀行は共同声明を出し、キプロス銀行の資本増強及び救済プロセスが完了したと発表した。
調査終了後、トロイカはキプロスの財政再建プログラムは順調に進んでいるとし、キプロスは財政再建措置の実施により全ての財政目標を達成したと評価。そして9月13日、ユーログループは15億ユーロの融資を、続いて16日、IMF理事会は8,470万ユーロの融資を承認した。
他方、ロシアから受けた既存の25億ユーロの二国間融資に関し、融資協定の見直しが行われ、9月12日、キプロス政府とロシア政府はモスクワにて改正版融資協定に署名を行った。これにより融資金利は、当初の年率4.5%から同2.5%に引き下げとなり、返済についても予定の2016年中の一括返済ではなく、2018年から2021年にかけて分割で返済されることとなった (全8回 《年2回》)。
2.財政
財務省の発表によれば、2013年第2四半期の歳入は16億1,750万ユーロ (前年同期比9.2%増) となった。また、歳出は18億4,310万ユーロ (前年同月比2.5%減) となり、財政収支は2億2,560万ユーロの赤字 (同4億940万ユーロの赤字) となった。
同期間の主な歳入は、生産税及び輸入関税によるものが7億490万ユーロ (前年同期比13.6%増)、VATによる税収が4億1,160万ユーロ (同14.5%増)、所得税及び富裕税による税収が3億6,980万ユーロ (同23.9%増) となった。一方、歳出については、公務員人件費が5億8,000万ユーロ (前年同期比10.6%減)、社会移転が7億5,630万ユーロ (同8.2%増) となった。
出展: キプロス統計局
3.主な産業
(1) 観光業
2013年8月の観光客数は35万2,215人 (前年同月比3.1%減) となった。個別には、ドイツからの観光客が8,693人 (前年同月比36.2%減)、ギリシャが9,129人 (同25.5%減)、英国が12万7,118人 (同13.0%減)となった。一方、ロシアからの観光客が増加し、9万9,215人 (同25.1%増)となった。
(2) 建設業
2013年1月~6月の建築許可証発行数は、2,701件と前年同期比26.4%減となった。
4.経済指標
(1) GDP成長率
2013年第2四半期のGDP成長率は前年同期比-5.9%となった。
(2) 消費者物価指数
2013年8月の消費者物価指数は前年同月比0.9%の下落となった。
(3) 失業率 2013年8月の失業率は、16.9%となった。
出典: キプロス統計局及びEU統計局 (ユーロスタット。4-(3) のみ)
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