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2013年10月-12月
1.概況
2013年第3四半期のキプロス経済は、第2四半期に続き建設業や製造業などの第2次産業の他、銀行業・貿易・運輸業等が低迷し、GDP成長率は前年同期比5.3%減となった。
10月29日~11月7日、財政再建プログラムの一環として、トロイカ(欧州委員会、欧州中央銀行及びIMF)調査団がキプロスを訪問し、第二回評価調査を行った。調査終了後、トロイカはキプロスの財政再建プログラムは順調に進んでおり、キプロスは財政目標を全て達成した、また前回調査以降金融セクターの資本増強及び再編は著しく進展したと評価した。そして12月9日、ユーログループは年末までに1億ユーロの融資を実施する旨承認、続いて18日、欧州安定メカニズム(ESM)理事会は同融資を承認した。また20日、IMF理事会は8,320万ユーロの融資を承認した。
他方、12月19日、キプロス国会は2014年予算案を可決した(賛成30票、反対20票)。同予算案は、トロイカとの支援プログラム合意後初の予算で、公務員給与や社会保障費削減等により2013年より10%縮小したものとなっている。キプロス政府は同予算案において、2014年のGDP成長率は-3.9%、失業率は19.5%、財政赤字はGDP比5.4%、公的債務は対GDP比123%と予測している。
2.財政
財務省の発表によれば、2013年第3四半期の歳入は16億8,110万ユーロ(前年同期比11.2%減)となった。また、歳出は17億9,570万ユーロ(同6.7%減)となり、財政収支は1億1,460万ユーロの赤字(前年同期は3,140万ユーロの赤字)となった。
同期間の主な歳入は、生産税及び輸入関税によるものが6億3,270万ユーロ(前年同期比6.3%減)、所得税及び富裕税による税収が5億2,630万ユーロ(同10.9%減)となった。一方、歳出については、公務員人件費が6億2,220万ユーロ(前年同期比8.4%減)、社会移転が6億1,370万ユーロ(同4.3%減)となった。
出展: キプロス統計局
3.主な産業
(1) 観光業
2013年11月の観光客数は8万1,542人(前年同月比2.9%減)となった。個別には、ギリシャからの観光客が8,411人(同2.9%減)、ドイツからが7,475人(同33.2%減)となった。一方、英国からの観光客は3万413人(同3.5%増)、ロシアが1万1,665人(同7.9%増)となった。
(2) 建設業
2013年1月~9月の建築許可証発行数は、3,993件と前年同期比25.6%減となった。
(3) その他
キプロス国債の格付け状況
11月29日、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、債務返済をめぐる差し迫ったリスクが後退したことを理由に、キプロスの長期ソブリン格付けを「CCC+」から「B-」に引き上げた。また、見通しについて安定的とした。
4.経済指標
(1) GDP成長率
2013年第3四半期のGDP成長率は前年同期比-5.3%となった。
(2) 消費者物価指数
2013年11月の消費者物価指数は前年同月比2.1%の下落となった。
(3) 失業率
2013年10月の失業率は、17.0%となった。
出典:キプロス統計局及びEU統計局(ユーロスタット。4 (3) のみ)
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