|
|
2014年10月-12月
1.内政
アナスタシアディス大統領は心臓手術を受けるため、12月初めからニューヨークの病院に入院し、21日に帰国し、23日より任務に復帰した。
2.外交
(1) 対ギリシャ関係
10月13日、カスリーディス外相はギリシャを訪問し、ヴェニゼロス副首相兼外相と会談を行った。両外相は両国間の海上における捜索救難の二国間協力に関する合意書に署名した。
(2) キプロス・ギリシャ・エジプト三か国関係
( i ) 10月29日、ニコシアにてエジプト・ギリシャ・キプロス三か国外相会合が開催され、三か国外相は、キプロス問題、エジプトにおける政変、中東情勢、テロ対策等について議論した。これは11月8日実施の三か国首脳会合に先だって行われたものである。また三か国外相は、キプロスのEEZ内において最近、東エーゲ海及び中東地域の安定と安全保障を脅かす(トルコによる)違法行為が行われていることに関し遺憾の意を表明した。
( ii ) 11月8日、カイロにて三か国首脳会合が開催された。アナスタシアディス大統領を含む三首脳はエネルギー分野等での協力強化に合意し、「カイロ宣言」に署名した。
( iii ) 11月25日、ニコシアにおいて三か国エネルギー大臣会合が開催され、主にキプロスのアフロディーティ・ガス田からエジプト及びギリシャへ天然ガスを輸送するためのパイプライン建設等についての協議が行われた。
(3) 対米関係
11月1日、アナスタシアディス・キプロス大統領はバイデン米副大統領と電話会談し、地域情勢と二国間の戦略的パートナーシップについて協議した。バイデン副大統領は、外交によってキプロス・トルコ間の緊張が緩和されることを望むと述べ、エネルギー資源開発のために相互にとって利益となる方法を追求することを全関係者に促すことを約束した。また両者はキプロス問題をめぐる協議再開の必要性についても協議した。
(4) 対イスラエル関係
11月5日、カスリーディス外相はキプロス訪問中のリーベルマン・イスラエル外相と会談した。リーベルマン外相は、トルコによるキプロスのEEZ内の侵入を批判した。
(5) その他: アナスタシアディス大統領のASEM首脳会合出席
10月16日アナスタシアディス・キプロス大統領はASEM首脳会合に出席し、欧州各国の首脳に対し、キプロスEEZ内でのトルコの挑発的行為について問題提起した。また同大統領は本会合のマージンで、メルケル独首相やプーチン露大統領と個別に会談した。
3.キプロス問題
(1)
10月20日、トルコの地震調査船「バルバロース」がキプロスのEEZ内に侵入したことを受け、キプロス政府は国家評議会を開催し、速やかに対抗措置(トルコのEU加盟に向けた手続きを一切承諾しない等)を取ることを決定した。
(2)
10月23日にブリュッセルで開催された欧州理事会首脳会合ではトルコによるキプロスの主権侵害について審議が行われたが、アナスタシアディス大統領は体調不良のために急遽現地の病院に入院したため、会合中はサマラス・ギリシャ首相が代理でキプロスの立場を主張した。キプロス及びギリシャによる強い働きかけにより、結論文ではトルコに対しキプロスの領海及びEEZにおける権利尊重を求める文言が盛り込まれた。
(3)
11月、アイデ・キプロス問題国連特使はキプロス政府に対し、両系のキプロス人が参加する炭化水素資源を管理するための技術委員会創設について提案したものの、キプロス国家評議会はこの提案を拒否することを決定した。
(4)
キプロス側はトルコがキプロスの主権を尊重する明確な意思を示すまでキプロスは南北の再統合に向けた交渉に参加しないとしているが、トルコ側は2015年1月に調査船を少なくとも4月6日まで滞留させるとする新たな海事規律(Navtex)を発出したことで両国の緊張は高まっており、南北交渉の再開の目処は立っていない状況である。
4.経済
(1) ECBストレステスト結果談
10月26日、ECBは銀行ストレステスト(包括審査)の結果を発表し、3行(Bank of Cyprus, Co-operative Bank, Hellenic Bank)が不合格となった。本ストレステストは2013年12月末時点のバランスシートを基に審査されたものであるが、Bank of Cyprus及び Co-operative Bankは事前に資本増強を行っており、資本不足の問題は解決している。またHellenic Bankは、今回の審査の結果1億500万ユーロの資金不足とされ、12月、2億100万ユーロの資本増強を行った。
(2) キプロス向け融資の承認
11月6日、ユーログループ会合にてキプロス向け融資(3億5000万ユーロ)が承認された(12月15日実施)。キプロス政府は、本融資受け取りの条件となっていた抵当権執行の迅速化に関する法案の採択をめぐり、トロイカの承認を得ることができず、融資が見送られていた。
(3) 成長率
2014年第3四半期のキプロス経済は、貿易、ホテル業、レストラン業及び法律・会計業で成長が見られる一方、建設業や製造業などの第2次産業の他、銀行業及び運輸業等が低迷し、GDP成長率は前年同期比-1.7%となった。
(4) 財政
財務省の発表によれば、2014年第3四半期の歳入は18億6,600万ユーロ(前年同期比9.3%増)となった。また、歳出は16億4,690万ユーロ(同8.0%減)となり、財政収支は2億1,910万ユーロの黒字(前年同期は8,350万ユーロの赤字)となった。
(5) 観光
2014年12月の観光客数は5万6,863人(前年同月比3.7%増)となった。個別には、英国からの観光客が1万7,995人(同5.1%増)、ギリシャからは8,263人(同9.1%増)となる一方、ロシアからの観光客は4,956人(同12.5%減)となった。1月から12月の観光客数は244万1,239人(前年比1.5%増)となった。
5. 経済指標
(1) GDP成長率
2014年第3四半期のGDP成長率は前年同期比-1.7%となった。
出典:キプロス統計局
(2) 消費者物価指数
2014年12月の消費者物価指数は前年同月比1.5%の下落となった。
出典:キプロス統計局
(3) 失業率
2014年11月の失業率は16.8%となった。
出典: EU統計局(ユーロスタット)
←キプロス概況へ
|
|
|
|