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ギリシャ経済最新情報

  2009年3月


1.概況
今般の欧州における景気後退や貿易不振を受け、ギリシャにおける観光業、海運業、建設業、南東ヨーロッパにおける各種産業が停滞し、ギリシャの 2009 年経済成長は、 2008 年の3.0%から1%以下に落ち込むことが予想される。このような情勢を受けて、政府は流動性を高めることを目的とした280億ユーロ相当の経済政策や、公共部門での歳出削減、歳入増加を目指した課税制度の見直しなどを進めている。

2008年のギリシャの経済成長3.0% は、同0.7% であるユーロ圏全体の中では高成長率の国の一つに数えられ、金融危機発生後の 2008年第4 四半期においてもユーロ圏全体の-1.2% に比して2.4% の成長を保っている。ただ、経済成長の減速は 2009年も継続するものと考えられ、 2009年のギリシャの経済成長について、政府は1.1% 、ギリシャ中央銀行は0.5%、欧州委員会は0.2%と予測している。


民間消費及び政府消費ともに2008年は大幅な低下が予測され、最終消費全体の成長率は、 2007年の3.9%から、 2008年は 2.4%程度への低下が考えられる。 2008年における企業投資の成長率はマイナス成長となることが予想される一方、政府投資は増加となっている。


2008年下半期の国内需要の低迷の特徴として輸入の低迷が挙げられる。 2008年第4 四半期の輸入の減少は前年同期比-5.2% 、うち商品輸入は-6.0% 、サービス輸入は -1.1% と推定される。一方で、 2008年第4 四半期においては輸出においても商品輸出は-4.4% 、サービス輸出は -5.4% の減少傾向が予測されるが、 2008年全体を通じては3.0% の成長が見込まれている。ギリシャの輸出は、ロシアや南東欧の国々の急速な経済成長に支えられていたが、2009年においてもこれらの国々の経済情勢がギリシャの輸出に大きな影響を与えるものと考えられ、 2009 年の輸出は-6.0% 程度の減少、内需低下により輸入も-6.5% 程度の減少が予測される。

2007年においては4.9%増であった固定資本投資は、 2008年には8.9% 減少することが予測されているが、主な原因としては、住宅投資が前年比25.5% 以上減少することに起因する。



2.雇用
2008年第4 四半期失業率は前期比で若干増加して7.9% 、2008 年を通じては7.7 %であった。一般的な経済停滞の影響で、特に建設業での失業率が増加したが、多数の企業が金融危機の影響を受け、従業員解雇を余儀なくされる企業も発生している。 2008年12月の解雇率は前年同月比17%増であった。


3.財政
経済活動の減退のより、期待していた税収に届かず、2009年の財政赤字率は、当初予測のGDP比率2%から3.7%へ修正された。 2004年~2007年の平均4%と比して減少傾向にあるが、 EU 基準値の3%を上回っており、欧州委員会から改善措置が求められている。ギリシャ政府は2009年の財政赤字を1.8%まで削減することを目指しているが、EU4.2%に達すると予測している。


4.主な産業分野の動向

(1)海運業
商業海運は 2008 年第 4 四半期以降減少傾向へ転換されたが、前年比25.0%増の92 億ユーロまで上昇した 2007 年の関連収入は、 2008 年において継続して前年比7.7% 増の99 億ユーロとなった。ただ、 2009 年においては、約 30% の減少が予測される。

(2)観光業
2008 年の国際観光関係収入は、ドイツや英国からの観光客の減少にもかかわらず、ロシアや南東欧からの観光客の増加により、前年比 3.0% の上昇があった。 2009 年はこれらの国々からの観光客も減少が予測され、マイナス成長が予測される。

(3)銀行業
銀行システムについては、これまでもギリシャと南東欧において重要な柱となっており、昨今の金融危機に際しても、銀行貸し出しの90%が顧客預金によって賄われており、金融危機の影響が最小限に抑えられている。従って、政府による280億ユーロの支援が行われることにより、 2009 年においても一定程度の信用拡大が続くと予想される。ただし、地方銀行は、激しい経済低迷や国際資本主義の不況への免疫が少ないため、国有化が議論されている。

(4)住宅産業
2005年の税制改正により2006年に大きく伸びた住宅投資は、 2007年以降落ち着きを取り戻していたが、当該分野においても金融危機の影響を受けて、2009年は約-7.5% 程度低下することが予想される。また、2008年の住宅価格の上昇率は、2007年の3.5% や2006年の12.5%に比して、建築費用の上昇分をかろうじてカバーする 1.5% 程度に留まったが、この住宅価格上昇の鈍化は、過剰供給を是正する機会とも考えられる。


5 .構造改革及び民営化動向

(1)ガス公社(DEPA)
3月6日、政府の民営化委員会が開催され、国営の建築物の有効活用に関する可能性を探っていくことで合意した。プレス発表によると、政府は、売却や賃貸を通して18億ユーロと推定される国営の 26 の資産活用を計画している。当該委員会は、ガス公社( DEPA )に対する戦略的投資家を探ることも合意した。経済財務省は民営化による歳入は10億ユーロに上ると試算している。

(2)オリンピック航空売却
3月6 日、マーフィン・インベストメント・グループ(MIG)がオリンピック航空(OA)を買収することとなった。
MIG は航空業務、メンテナンス業務、地上業務を行うことになっている。

(3) OTE
3月30日、ギリシャの電信電話公社OTE は、FYROM (マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)における子会社コスモフォンを、スロベニア共和国国営企業スロベニエへ1 億9千万ユーロで売却した。


6.その他の関連事項
1月29日、ギリシャ最大の食品グループであるビバルティア(VIVARTIA)は、アジア諸国における更なるプラットホームの拡大を目指し、我が国の森永乳業へギリシャヨーグルトの技術的ノウハウを提供する旨の合意を行った旨発表した。

※ 各種公表資料参照



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