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2013年3月
1. 概況
公務員削減計画の調整が長引き、トロイカ調査団は財政レビューを中断しアテネを離れた。調査団は4月初めにもアテネに戻り、レビューを再開する予定だが、この状況を受けて3月分の融資28億ユーロの実施が4月以降にずれ込んでいる。昨年12月に公表された対ギリシャ第二次支援第1回財政レビュー報告書では、今年第1四半期に別途60億ユーロの支援実施が予定されていたが、こちらもレビュー作業完了後に持ち越しとなっている。
ギリシャと政治的・経済的な結びつきが強い隣国キプロスへのトロイカのよる財政支援をめぐる動きは、ここのところ落ち着いていたギリシャの金融市場にも影響を及ぼしており、アテネ株価指数は年初来の安値を記録。また、昨年末の国債買い戻し以降10%台前半まで落ち着いていた10年物国債利回りも12%台半ばから後半まで上昇してきている。
ただ、危機発生以来一貫して上昇してきた失業率が、ここにきて僅かとはいえ初めて減少するなど明るい兆しも見えはじめており、この傾向が持続するか、今後の政府の取り組みが注目される。
2. 財政
ギリシャ財務省が公表した2013年1月~2月の財政統計によれば、同期間の財政赤字は、7億8,900万ユーロとなり、政府目標の26億3,000万ユーロ以下に収まった。また、同期間のプライマリーバランスは4億8,700万ユーロの黒字となり、同目標の13億5,300万ユーロの赤字と比較して大きく改善されている。
歳入は、VAT、その他間接消費税(たばこ税等)、道路税及び燃料税による税収が政府目標を下回った一方、所得税及び不動産税の税収増や公有財産活用の一環である国際放送センター(IBC)のリース等による収入により総額86億3,400万ユーロとなり、政府目標を6億8,900万ユーロ上回った。
歳出は94億2,200万ユーロとなり、政府目標の105億7,500万ユーロより11億5,300万ユーロ低く抑えられた。
出典: ギリシャ財務省
3. 輸出入
2013年1月の輸入総額は40億9,300万ユーロ(前年同月は38億4,350万ユーロ)と前年同月比6.5%増となった。一方、輸出総額は21億9,270万ユーロ(前年同月は19億1,760万ユーロ)と前年同月比14.3%増となった。2013年1月の貿易収支赤字は19億30万ユーロと前年同月比1.3%減となった。
出典: ギリシャ統計局
4.主な産業分野
(1) 観光業
ギリシャ観光業協会(SETE)によれば、2013年2月の国内主要空港の観光客到着数(暫定値)は、13万8,029人となり、前年同月比7.88%減となった。個別には、アテネ空港が8万8,000人(同8.73%減)、テッサロニキ空港が4万8,534人(同5.36%減)となった。
(2)その他の産業
①2012年12月の新車登録台数(乗用車)は3,841台(前年同月比34.5%減)、本年1月は6,258台(同25.5%減)となった。危機以来2011年までは月ごとの新車登録台数が前年を上回る月もあったが、2012年は年間を通して前年同月比で大きく減少するなど、消費低迷を象徴する結果となった。
②2012年12月の建設許可発行数は1,798件と前年同月比40.0%減となった。
出典: ギリシャ統計局、ギリシャ中央銀行
5.経済指標
(1) 消費者物価指数
2013年1月の消費者物価指数は前年同月比0.1%の上昇となった。
(2) 失業率
2012年12月の失業率は26.4%となり前月から0.2%減少した。*1
出典: ギリシャ統計局
*1 2012年10月の失業率は、ギリシャ概況(2013年1月)公表後、ギリシャ統計局により26.8%から26.6%に修正されており、本号では当該修正後の数字を使用した。
※各種報道・公表資料を基に作成。
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