Home | Skip navigations | Ελληνικά
 

ギリシャ経済最新情報

  2012年2月


1.概況
(1) 昨年10月末に大筋で合意されていた対ギリシャ第二次支援に関し、景気後退による財政再建の遅延とギリシャの緊縮策の実施能力に関する不信感の高まりを受けて、ユーロ圏財相会合における第二次支援決定は数度にわたり延期された。最終的には20日の同会合にて決定されたものの、前提となる追加緊縮策の議論の過程において連立を構成する国民正統派運動(LAOS)が投票前日になり政権から離脱。 PASOK、ND両党が党議拘束をかけ賛成したため 12日の投票では事前の予想通り可決されたが、賛成票は199票(投票前の段階では PASOK153票、ND86票)となり両党からそれぞれ20名を超える造反者が出る結果となった。両党は採決後造反議員を直ちに除名処分としたが、4月に実施されると見られる総選挙に向けて、今回の除名を受けて無所属となった議員を巻き込み新党の結成などの動きが顕在化しており、動向が注目される。

(2) 民間債権者の自発的参加(PSI)によるギリシャ債務削減に関する詳細な条件については、昨年11月末の交渉開始から約3ヶ月を経てようやく合意に至り、24日、公式に新規国債等への借り換えについて財務省から公表された。今後はどの程度の民間債権者が PSI に参加するのか(集団行動条項は発動されるのか)、結果としてどの程度ギリシャの債務が実際に軽減されるのか(目標とされる2020年時点の累積財政赤字対GDP比120.5 %*1 の達成見通し) 等に注目が集まることになる。

(3) 23日に欧州委員会が発表した経済見通しによれば、ギリシャの今年のGDP成長率は-4.4%と、2008年以降 5年連続のマイナス成長となると見込まれている。 2008年にマイナス成長に突入したギリシャ経済は、昨年まで4年連続のマイナス成長となっており、2007年比で約13%GDPが下落している。

 
*1 20日のユーロ圏財相会合にて昨年10月の欧州理事会及びユーロ圏首脳会合における累積財政赤字目標を若干緩和した(120%から120.5 %)。


2.財政
景気後退が深刻化する中、財務省は、昨年12月に公表した本年の歳入及び歳出見通しについて修正を行った。歳入については、当初予測の591億8,400ユーロ(前年比 6.1 %増)から561億5,900万ユーロ(前年比2.83%増)へ引き下げた。個別には、直接税(所得税、資産税など)による歳入が242億1,300万ユーロから235億2,200万ユーロへ、間接税(VAT、石油関連税など)による歳入が290億8,800万ユーロから268億8, 100万ユーロへ下方修正された。一方、歳出については、当初予測の725億5,700万ユーロから702億9,800万ユーロへ修正された。


3.輸出入
2011年の輸入総額(石油製品*2 を除く)は318億8,820 万ユーロ (前年は367億3,200万ユーロ) と前年比13.2%減となった。一方、輸出総額(石油製品を除く)は160億1,480万ユーロ(前年は146億3,870万ユーロ)と前年比9.4 %増となり、2011年の貿易収支(石油製品を除く)は158億7,340万ユーロの赤字となった(前年比28.2%減)。

出典:ギリシャ統計局
 
*2 主にガソリンや灯油などの燃料。 SITC分類(標準国際貿易商品分類)33番及び34番。


4.主な産業分野
(1) 観光業
2011年のギリシャの観光客到着数は、1642万7,247人に上り、前年比9.46%増となった。また、 同年の観光業収益は105億2千万ユーロと前年比9.45%増(前年収益は96億1千万ユーロ)となった。個別にはデモやストライキの影響によりアテネ空港の観光客到着数が約288万7千人(前年比3.67%減)となった一方、 島嶼部の観光客数は大幅に増加し、ロードス空港は約173万6千人(前年比22%増)、イラクリオン空港(クレタ島)は約217万3千人(前年比12.6 %増)、ハニア空港(同島)は約65万7千人(前年比10.8 %増)と明暗が分かれる結果となった。

(2) その他の産業
① 2011年1月から10月の建設許可発行数は2,628件と前年比 28.7 %減となった。
② 2011 年の新車登録台数(乗用車)は10万6,953台となり、前年比29.8 %減となった。 2008年以降4年連続で減少しており、2007年の31万5,767台から約3 分の1に落ち込んでいる。

 

出典:ギリシャ統計局、ギリシャ中央銀行及びギリシャ観光業協会


5.その他関連情報

22日、格付け会社フィッチは、前日のユーログループ財相会合における PSI 承認及び 22 日のCACs (集団行動条項)に関する法案の国会提出を受け、ギリシャ国債の格付けを CCC からC(一部債務不履行(RD) の一段階上にあたる。)に引き下げた。同社は、PSI が完了した場合、デフォルトに陥ったと見なし、格付けをRDまで引き下げる可能性がある。また、格付け会社スタンダード&プアーズも27日、ギリシャ国債の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げた。財務省は同社による引き下げは事前に予想されていたものであり、ギリシャの銀行おける資金の流動性については中央銀行及び EFSF により手当されており影響は生じないとの考えをプレスリリースにて明らかにしている。


6.経済指標
(1)消費者物価指数

2012年1月の消費者物価指数は前年同月比2.3 %の上昇となった。



(2) 失業率
2011年11月の失業率は、20.9 %となり前月から2.7%上昇した。




出典: ギリシャ統計局

 

※各種報道・公表資料を基に作成。



←「ギリシャ経済」へ戻る




 
西林 万寿夫 大使より 大使館活動報告・一覧
  Japan Info Links